
「肩甲骨の内側が痛くなるんです…」
そう言って当院を訪れたのは、20代の女性。接客業で立ち仕事が多く、日中はほとんど同じ姿勢で過ごすとのこと。夕方になると肩甲骨の内側がズーンと重だるく痛み出し、仕事に集中できないこともあったそうです。
以前は他の接骨院で「姿勢を直さないと治らないよ」と言われ通院してたものの改善せず。
ホームページで知り当院に来院されました。
Contents
「肩こりだと思ってたんですが、何をしても良くならなくて…」
最初は肩こりかと思っていたそうですが、マッサージやストレッチをしてもまったく楽にならず、日に日に辛さが増していったとのこと。
当院に来られた時点での痛みの強さ(ペインスケール)は「8/10」。
「ズーンとした重さと、奥の方で引きつるような痛みがずっとある」との訴えでした。
評価と検査で原因を明確に
まずは原因を明らかにするため、検査を行いました。

①ジャクソン・スパーリングテスト:陽性
→動作制限感、頚椎7番付近への詰まり感、僧帽筋上部への軽度放散痛が出現
②圧痛点:副神経(僧帽筋上部付近)、肩甲背神経(肩甲骨内側)に圧痛あり
③肩甲骨を内転させる動きで痛みが再現
→ 実際の業務中と同じ動作で症状が誘発される

これらの所見から、ジャクソン・スパーリングテストが陽性ではあるものの主訴の部位とテストによる放散痛の部位が違うことと、肩甲骨内転動作による痛みの方が普段感じる痛みと近いため、今回の肩甲骨の症状は首からの神経圧迫による症状の関与は低いと判断。
筋肉と神経の滑走不全(癒着)や過緊張が痛みの主な原因と考えました。
アプローチ①:副神経と僧帽筋の癒着リリース

副神経は、肩甲骨を支える「僧帽筋」を動かす神経です。長時間の同じ姿勢や、肩甲骨の固定が続くと、筋肉と神経の間に“癒着”が起こりやすくなります。
今回はこの副神経と僧帽筋上部の癒着を丁寧にリリース(癒着を剥がす手技)しました。
施術後、痛みのスケールは8→4へと大幅に軽減。
「ズーンとした重さが取れました」との声もありました。
アプローチ②:棘上筋のリハビリで痛みゼロへ

次に、残った痛みに対しては**棘上筋(きょくじょうきん)**というインナーマッスルに注目しました。
棘上筋は肩の安定に深く関わる筋肉で、ここがうまく使えていないと、僧帽筋に負担が集中しやすくなります。
今回は等尺性収縮トレーニングを実施。
具体的には、以下のように指導しました。
【棘上筋のセルフトレーニング方法】

- 壁の前に立ち、肩を30度ほど外転(腕を少し横に開く)
※この時、腕は真横よりも若干前に出すことが理想です - 手のひらや前腕を壁に当てる
- そのまま壁を押すように力を入れる(動かさず、力だけ入れる等尺性収縮)
- 5〜10秒キープ → 力を抜く を5セット程度繰り返す
このトレーニングによって棘上筋の働きを促し、僧帽筋の過剰な活動を抑制した。
結果、ペインスケールは4→0にまで改善しました。
セルフケアで再発を予防
症状が改善しても、日常生活での負荷を放置すると再発の恐れがあります。
そこで、患者さんには以下のセルフケアをお伝えしました。
① 肩甲骨のモビリティ体操
→ 両肩に手を置き肩甲骨を回すようにゆっくり肩を動かして、柔軟性と滑走性を維持
② 棘上筋トレーニング(上記の壁押し運動)
→ 道具不要・自宅で簡単・僧帽筋の負担軽減につながる
「毎日じゃなくていいですが、週に2〜3回はぜひ続けてください」とお伝えしています。
「肩こり」とは違う肩甲骨の痛み
肩甲骨の内側の痛みは、一般的な「肩こり」とは異なるケースが多くあります。
特に今回のように、
- 姿勢が崩れやすい仕事
- 肩甲骨を動かす機会が少ない
- 他院で治らなかった
という方は、神経と筋肉の機能不全や癒着が原因になっている可能性があります。
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まとめ
✔ 肩甲骨内側の痛み=肩こりとは限らない
✔ 副神経や棘上筋などの機能不全が隠れていることも
✔ 適切な評価と施術、そして自宅でのリハビリがカギ
✔ 改善した後も、負担を溜めないことが再発防止につながる
「どこに行っても治らない」「姿勢のせいかも…」と悩んでいる方は、ぜひ一度ご相談ください。
執筆者

つぐみ整骨院 院長 篠田健太
柔道整復師として10年以上、整骨院(接骨院)、整体院にて修行し独立。
地域の方や日本代表レベルのスポーツ選手の治療にあたる。
痛み治療や身体動作に関するトレーニングの講演を行なっている。
保有資格
柔道整復師国家資格(厚生労働省認定)
プロコーチ(マインドセット社認定)
日本足病学協会

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