歩いていると腰やお尻に痛みが出て、少し休むと楽になる――
このような症状は脊柱管狭窄症に多く見られます。特に70代以上の方に多く、日常生活の歩行や趣味のゴルフに支障をきたすことも少なくありません。
今回は、腰椎の隙間が狭くなり100メートル以上歩けなかった70代男性の症例をご紹介します。リハビリと施術を継続した結果、3ヶ月で1キロ歩けるようになり、ゴルフの痛みも改善した経過をまとめました。
患者プロフィールと初期症状

患者さんは70代の男性。現在は仕事をしておらず、趣味としてゴルフを続けていらっしゃいます。
初診時の主な訴えは「立っていると腰やお尻が痛む」「100メートルも歩くと腰がつらくなり、座って休むと楽になる」というものでした。
典型的な間欠性跛行(かんけつせいはこう)の症状で、日常生活にも大きな支障をきたしていました。
検査と所見

病院でのレントゲン検査では、腰椎同士のすき間が狭くなっていることが確認されました。
これは脊柱管狭窄症によく見られる変化で、加齢による椎間板や関節の変性が影響していると考えられます。
当院での評価では次のような所見が得られました。
- 腰部伸展でお尻に痛みが出る
- SLRテスト(坐骨神経伸展テスト)は陰性
- 足趾伸展筋力の低下(特に左足)
- 中殿筋の筋力低下(特に左側)
これらの結果から、腰椎の変形に伴う椎間関節由来の腰痛と、脊柱管狭窄症による歩行障害の両方が症状に関わっていると判断しました。
臨床推論と考えられる原因
脊柱管狭窄症の特徴である「歩くとつらいが休むと楽」という症状は、神経の圧迫と血流障害によって起こるものです。
また、腰の伸展で痛みが出る点は、椎間関節に負担がかかっているサインです。
さらに、足趾や中殿筋の筋力低下は神経機能が低下している証拠であり、放置すれば日常生活動作がさらに制限される可能性が高いと考えました。
つまり、脊柱管狭窄症が歩行を妨げ、椎間関節症が腰痛を悪化させている状態と推定しました。
治療戦略
今回の治療方針は「腰の負担を減らし、他の部位の動きを高める」ことでした。

- 腰部の伸展を抑える
- その代わりに上背部(胸椎)や股関節の伸展動作を改善する
腰だけで動作を支えるのではなく、体全体をバランスよく使えるようにすることで、神経や関節への負担を軽減することを目指しました。
また、中殿筋や足趾の筋力強化も並行して行い、歩行時の安定性を高めるようアプローチしました。
経過と改善結果
施術と運動指導を継続して3ヶ月後、患者さんの歩行能力は大きく改善しました。
- 連続歩行距離は 100メートル → 1キロメートル に延長
- ゴルフ時の腰椎・臀部痛も ほとんど消失
なぜこれだけ歩行距離が改善できたのか?
①患者さん自身が毎日教えたリハビリを頑張ったから(これが治療より大事!)
②お腹を突き出した姿勢をしなくても平気になったから(下記画像を参照!)

患者さんご本人も「歩くのが怖くなくなった」「ゴルフを再び楽しめるようになった」と笑顔で語られています。
まとめ
脊柱管狭窄症は「年齢のせいだから仕方ない」と思われがちですが、適切な施術と運動によって症状が改善するケースは少なくありません。
- 腰への負担を減らす工夫
- 上背部や股関節を含めた全身の柔軟性・筋力向上
これらを行うことで、歩行距離が伸びたり、趣味の再開が可能になることもあります。
もし「歩くと痛いが、休むと楽になる」という症状でお悩みなら、早めの対策をとることで生活の質を大きく改善できる可能性があります。
執筆者

つぐみ整骨院 院長 篠田健太
柔道整復師として10年以上、整骨院(接骨院)、整体院にて修行し独立。
地域の方や日本代表レベルのスポーツ選手の治療にあたる。
痛み治療や身体動作に関するトレーニングの講演を行なっている。
保有資格
柔道整復師国家資格(厚生労働省認定)
プロコーチ(マインドセット社認定)
日本足病学協会

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