肩関節

肩の痛みが前腕まで広がるのはなぜ?

肩の痛みでよくあるお悩み

「肩が痛いだけでなく、腕や前腕までズキズキする」
「病院で検査をしても異常がないのに、腕にまで痛みが広がる」

こうしたご相談を受けることは少なくありません。実際に、肩の炎症や不調があると、その痛みは肩にとどまらず前腕まで広がることがあります。

この現象は決して珍しいものではなく、体の仕組みを知ると納得できます。


肩の中で起きていること

肩の骨と骨の間には「肩峰下滑液包(けんぽうかかつえきほう)」というクッションの役割を持つ袋があります。また、腕を持ち上げるときに重要な「棘上筋(きょくじょうきん)」という筋肉の腱もこの部分を通っています。

スポーツや日常生活での使いすぎ、姿勢の乱れなどが重なると、この袋や腱に炎症が起き、肩を動かすと痛みが強くなります。これがいわゆる「肩峰下インピンジメント症候群」と呼ばれる状態です。

ちなみに昨今は大リーガーの佐々木浪希選手も肩峰下滑液包炎で怪我人リスト入りしたことから、この病名が一気に有名になりましたよね。


なぜ前腕まで痛くなるのか?

一見すると「肩の炎症なら肩だけが痛むはず」と思うかもしれません。しかし実際には、肩の炎症が腕や前腕まで痛みを飛ばすことがあります。その理由は主に二つあります。

① 神経のつながりによる放散痛

肩と前腕の外側は、同じ「C5〜C6」という神経の支配を受けています。脳は深い場所の痛みを正確に判別するのが苦手で、同じ神経が担当するエリアに「痛み」を投影してしまうことがあります。そのため、肩の炎症が原因でも「前腕まで痛む」と感じるのです。

② 筋肉のこわばり

肩が痛むと、人は無意識にかばうように動きます。その結果、首や肩周りの筋肉が硬くなり、血流も悪化。筋肉にできた「トリガーポイント」と呼ばれる硬い部分が、前腕にまで痛みを広げることがあります。


放っておくとどうなる?

  • 日常生活で肩を動かすたびに痛みが走る
  • 夜間痛が強まり、眠れなくなる
  • 筋肉や関節が固まり、慢性的な痛みにつながる

早めに対応することで、痛みの広がりや悪化を防ぐことができます。


改善のためにできること

1. 炎症を抑える

まずは肩に過度な負担をかけないこと。炎症が強い時期は、安静や冷却が効果的です。

2. 正しい動きを取り戻す

炎症が落ち着いてきたら、肩関節や肩甲骨を少しずつ動かして柔軟性を回復させることが大切です。リハビリや軽いストレッチで、関節が固まるのを防ぎます。

3. 再発予防

姿勢の改善や、肩・肩甲骨の正しい使い方を身につけることで、同じ痛みを繰り返さないようにできます。特にデスクワークやスマホの長時間使用は肩に負担をかけやすいため、日常の姿勢にも注意が必要です。


セルフケアの一例

タオルストレッチ:タオルを背中に回して上下から引っ張り、肩や胸の筋肉を伸ばす

肩甲骨の体操:軽く胸を張りながら肩甲骨を寄せる動きを繰り返す

四つ這いエクササイズ:四つ這いになり、背中を丸めたり反らしたりして肩と背骨を連動させる

※痛みが強い場合は無理せず、専門家に相談してください。


まとめ

肩の炎症が原因で、腕や前腕まで痛みが広がることがあります。これは神経のつながりによる放散痛や、筋肉のこわばりが関係しています。

「腕まで痛いから腕の病気?」と不安になる方も多いですが、実際は肩の治療で改善するケースが大半です。早めに原因を見極め、適切なケアを受けることで、肩も腕も快適に動かせるようになります。

執筆者

つぐみ整骨院 院長 篠田健太

柔道整復師として10年以上、整骨院(接骨院)、整体院にて修行し独立。
地域の方や日本代表レベルのスポーツ選手の治療にあたる。
痛み治療や身体動作に関するトレーニングの講演を行なっている。

保有資格
柔道整復師国家資格(厚生労働省認定)
プロコーチ(マインドセット社認定)
日本足病学協会

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