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■はじめに

中学生の部活動で多く見られる「腰痛」。
「成長期だから仕方ない」と見過ごされることも少なくありませんが、その中に構造的な原因と再発リスクが潜んでいるケースも存在します。
今回は、小学生時代から慢性的な腰痛を抱え、中学生となった現在では座っていられないほどの痛みや、ソフトボールの投球動作でも腰に痛みが出るという女子選手の症例です。
この症例から、**「腰が原因ではない腰痛」**への考察を深めます。
■患者情報

- 年齢・性別:中学生・女性
- 部活動:ソフトボール部(投手)
- 主訴:腰痛(座位保持困難、投球時の腰痛)
- 初発:小学生低学年から慢性的に腰痛あり
- 既往歴:小学校低学年時に右足関節捻挫あり
- 現状:座っていると腰が痛くなり、投球動作でも腰に痛みが出現
■評価・検査所見
●視診・動作観察
- 立位での骨盤後傾傾向
- 体幹屈曲型の動作パターン
●整形外科的テスト

- ケンプテスト:陰性
- SLR(下肢伸展挙上)テスト:陰性
- 棘突起叩打痛:陰性
- spring test:L4-L5で陽性(過可動性)
- 前屈動作:立位で45°程度で腰部に疼痛出現、座位前屈では痛みなし
- 伸展動作:陰性
●関節可動域検査
- 背臥位股関節屈曲:右70°/左100°
- 側臥位股関節伸展:左右ともに30°
■臨床推論と仮説思考
▶ 疑われたのは「筋筋膜性腰痛」
- 神経症状を伴わず、整形外科的テストも陰性
- 画像診断は未実施だが、椎間板性腰痛や腰椎分離症の可能性は除外
- spring test 陽性のため、L4-L5の過可動性による負荷集中も関与
▶「腰が頑張りすぎている構造」を疑う

- 立位前屈でのみ痛みが出現し、座位前屈では無痛だったことから、
→ 股関節屈曲可動域の制限により、前屈時に腰部へ過剰な運動負荷が集中していると仮説。 - 特に右股関節(投球側)の屈曲制限が顕著であり、
→ 投球動作での体重移動の際、股関節で吸収しきれなかった負荷が腰部に蓄積している可能性を想定。
■治療とリハビリテーション
▶ 施術内容
股関節モビライゼーション(右)
・関節包ストレッチ、腸腰筋・梨状筋・深層外旋筋群の滑走改善
体幹安定化訓練
・ヒップヒンジ(座位)、四つ這いでの骨盤コントロール
・腰椎の過可動を制御しながら、股関節主導の動作パターンを再教育
投球動作の再構築
・ステップ時の骨盤の切り返しで腰部に代償が出ないよう、股関節可動域と体幹連動の協調性を中心に動作指導
⭐︎ヒップヒンジ(座位バージョン)のやり方
①骨盤を立てた状態で座る
※骨盤を立てる感覚が分からない場合は、骨盤を後傾と前傾をしてその中間でオッケー!

②腰部を動かさないように前屈する
※股関節を曲げることを意識する

▶ 生活指導
- 長時間座らない環境づくり(学校や家庭での姿勢指導)
- 自主トレ時は「腰が動きすぎていないか」を確認しながらフォーム改善
■詳しいリハビリ方法をご希望の方へ
今回の症例で行ったリハビリ内容(自宅でできる運動や注意点)を、
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■経過
初回の施術後から、「座っていても腰が痛くない」と本人・保護者ともに変化を実感。
1回の施術で座位保持・授業中の腰痛は消失。
2回目来院時は投球以外での腰痛は消失。
リハビリをより実践的な投球に合わせて行っていく。
■考察(柔道整復師向け)
この症例では、腰痛という主訴の陰に「股関節可動域制限 → 腰部代償 → L4-L5過可動 → 筋筋膜性腰痛」という典型的な代償連鎖が存在していた。
特に、立位前屈で痛みがあり、座位前屈で無痛という差異に注目できたことが診断とアプローチの鍵となった。
中学生アスリートでは、「柔らかく見える身体の中で、実は局所的な制限が潜んでいる」ことも多く、投球時の体重移動を評価する上でも股関節可動性は極めて重要。
■患者・保護者へのメッセージ
「ずっと腰が弱い」と思っていた人も、実は**腰が“頑張らされていただけ”**というケースが多くあります。
特に成長期の中学生は、痛みを我慢して練習を続けがちですが、
- 「座っていられない腰痛」
- 「投球時に腰が痛い」
といった症状がある方は、腰以外の場所に原因があるかもしれません。
原因を正しく見つければ、無理に我慢することなく競技を続けることもできます。
ぜひ一度ご相談ください。
■詳しいリハビリ方法をご希望の方へ
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執筆者

つぐみ整骨院 院長 篠田健太
柔道整復師として10年以上、整骨院(接骨院)、整体院にて修行し独立。
地域の方や日本代表レベルのスポーツ選手の治療にあたる。
痛み治療や身体動作に関するトレーニングの講演を行なっている。
保有資格
柔道整復師国家資格(厚生労働省認定)
プロコーチ(マインドセット社認定)
日本足病学協会

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